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久しぶりの学び

パストラルケアの研究大会が行われたので、
最近研修は足踏みしていますが、これは聞くだけですし、
いつも興味深い内容なので行ってきました。
去年の大会に参加したときの投稿はこちら

さて今回の特別講演は松本サリン事件で当初犯人扱いされた河野義行さんです。
名は体を表すといいますが、義を行う方でした。
あ、今回の大会のテーマは「ゆるし」。
河野さんはサリンをまいた実行犯の人たち、自分を犯人のようにあつかったマスコミ、
彼らを恨んでも憎んでもいない、というのです。
初めのころはきっと恨み憎んだのでしょうが、
結局恨んで憎んだところで、何も得るものはない、ということを悟られたようです。
拘置所にいる実行犯たちが会いたいと言えば会いに行くそうです。
そしてサリン噴霧器を作った元信者は10年の刑を経て出てきたそうですが、
河野さんの家に謝罪に来て、その時に10年も刑務所にいると、どんなことをするのですか?と質問すると、
植木の剪定などの勉強をした、ということだったので、それ以来年に数回、
河野さんのお宅の庭の植木の剪定をお願いしたのだそうです。
しかも河野さんは出張も多かったり、このような講演もあり、留守がちなため、
鍵の置場を教えて、留守の際には勝手に上がってもらい、
遠方から来てくれるので、家に自由に泊まってもらい、
冷蔵庫にはビールが冷えてるから勝手に飲んでいいと伝え、
その方と友人のように接しているのだそうです。

それから事件直後からオウムが真犯人とわかるまでの1年弱、
嫌がらせの電話や無言電話や脅迫状がたくさんあったそうです。
そして河野さん自身も神経ガスのサリンを吸っているため、入院していた。
実際にその電話の対応をするのは高校生の長男だったそうです。
長男は病院に来て、「お父さん、電話番号を変えてくれ!」と言ったそうですが、
「それは逃げることになるぞ。悪いことは何もしていないのだから、逃げずにきちんと対応しなさい。
無言電話には『あなたは何もおっしゃることがないようですので、電話をきりますよ』といって切りなさい」
と指導したそうです。このときの教育は今でも子供たちにとって財産だと思っている、とおっしゃっていました。

そして退院してからは脅迫状の差出人があるものにはすべて返事を書いたそうです。
家にガソリンで火をつけるぞと言ったような過激な脅迫状にも。
そしてそのすべてが、「あて先不明」で帰ってきたそうです。
だれも本当の住所や名前を名乗って堂々と送ってきた人はいないのだそうです。

衝撃的だったのは、「ゆるしの主導権はゆるされる側にあるんですよ」と仰ったことです。

クリスチャンにとっては私たちが気づく前からイエスキリストが十字架にかかり、私たちの罪をあがない、ゆるしてくださった、という信仰があります。クリスチャンにとってはゆるしの主導権はゆるす側にある、というような感じがしていました。それで逆のことを言われてびっくりしました。
でもよくよく考えると、河野さんがおっしゃったことは真理だと思います。
いくらゆるす側がゆるしていても、ゆるされる側が心から反省し、「ゆるしてください」と言わなければ、和解は成立しないのです。
すでにさしのべられた和解の握手のための神の手を、こちらが「ごめんなさい。ゆるしてください。ゆるしてくださってありがとう」といって、その手を握って初めて神との和解が成り立つのですよね。

今年も有意義な研究会でした。
来年は私の出身地熊本であるので、これまたぜひ行きたいです。
by martha2nd | 2015-06-22 13:19 | 神・キリスト・聖書・十字架

クリスチャン。在宅翻訳やってます。夫と文鳥との生活に奇跡的な誕生をした息子も加わり奮闘しています。


by martha2nd